どちらも、機械学習で「先生」(正解データ)と「生徒」(予測モデル)のズレを測るための物差しのようなものです。生徒の出した答えが、先生の教えた正解とどれくらい違うのかを数字で表します。
1. 平均二乗誤差(Mean Squared Error – MSE):答えのズレを「二乗」で見る物差し
これは、主に**「数値」を予測する**ときに使われます。例えば、「明日の気温は何度になるか?」といった予測です。
- 例えるなら:
- あなたが「明日の気温は20度」と予測したとします。
- 実際には、先生(天気予報)が「明日の気温は22度」と言いました。
- このとき、あなたの予測と正解のズレは「22 – 20 = 2度」です。
- 平均二乗誤差の計算方法(ちょっとだけ詳しく):
- それぞれの予測と正解のズレ(誤差)を計算します。(例:2度)
- そのズレを二乗します。(例:2度 × 2度 = 4) ← ここがポイント!
- 全ての予測データについて、この二乗したズレを合計します。
- その合計を、データの個数で割ります。(平均を出す)
- なぜ「二乗」するの?:
- ズレがプラスでもマイナスでも、二乗することで必ずプラスの数になります。これで、プラスのズレとマイナスのズレが打ち消し合うのを防ぎます。
- 大きなズレは二乗するとさらに大きくなるので、「大きな間違い」をより強く評価することができます。
- 平均二乗誤差の値が大きいとき: 生徒の予測は先生の正解と大きくズレていることが多い → まだまだ練習が必要!
- 平均二乗誤差の値が小さいとき: 生徒の予測は先生の正解と近いことが多い → 上手に予測できているね!
つまり、平均二乗誤差は、「予測がどれくらい正解からズレているかの平均」を、ズレの大きさを強調して評価する物差しです。
2. 交差エントロピー(Cross-Entropy):正解の「仲間」を選べているかを見る物差し
これは、主に**「どちらの仲間か?」を予測する**ときに使われます。例えば、「この画像は犬ですか?猫ですか?」といった分類問題です。
- 例えるなら:
- 先生が「これは犬の写真です」と教えました。
- 生徒のモデルは、「犬である確率は0.8(80%)、猫である確率は0.2(20%)」と予測しました。
- 正解は「犬」なので、生徒は「犬」の仲間である可能性を高く予測できています。
- 交差エントロピーの考え方(ちょっと難しいけど頑張って!):
- 先生が「正解はこっち!」とハッキリ示しているのに対して、生徒がどれくらい自信を持って正解の仲間を選べているかを見ます。
- 生徒が正解の仲間である確率を高く予測していれば、交差エントロピーの値は小さくなります。(良い予測)
- 生徒が正解の仲間である確率を低く予測していれば、交差エントロピーの値は大きくなります。(悪い予測)
- 間違った仲間の確率を高く予測すると、さらに大きなペナルティ(悪い評価)が与えられます。
- イメージ:
- 正解が「犬」の場合、予測が「犬:0.99、猫:0.01」のように、正解の確率がほぼ100%に近いほど、交差エントロピーは小さくなります。
- 予測が「犬:0.5、猫:0.5」のように、どちらか分かっていない状態だと、交差エントロピーは大きくなります。
- 最悪なのは、予測が「犬:0.1、猫:0.9」のように、間違った方を高い確率で選んでしまう場合で、このときに交差エントロピーは非常に大きくなります。
- 交差エントロピーの値が大きいとき: 生徒は正解の仲間を自信を持って選べていない → どちらの仲間か、もっとよく考える必要がある!
- 交差エントロピーの値が小さいとき: 生徒は正解の仲間を自信を持って選べている → 上手に分類できているね!
まとめると…
- 平均二乗誤差 (MSE): 予測した「数値」が、実際の数値とどれくらいズレているかを、ズレの大きさを強調して測る物差し。(気温、株価などの予測に使う)
- 交差エントロピー (Cross-Entropy): 予測した「仲間(クラス)」が、実際の仲間とどれくらい合っているかを、自信の度合いも考慮して測る物差し。(犬か猫かの分類、病気かどうかの診断などに使う)
どちらも、機械学習のモデルがどれくらい正確に予測できているかを評価するために、とても大切な考え方です。先生と生徒の間の「答え合わせ」のようなものだと考えると、少し分かりやすいかもしれませんね!